※ 各施設の情報は刊行当時のものです。
H●中米・カリブ海
〇キューバ
101 キューバ自然植物園(Jardin Botanico Nacional de Cuba)
- ハバナ市
- 市内大学通り
水~日 9:00~17:00
(休)月、火- 1968年創設。600haの広大な敷地をもつ国営の自然植物園。キューバ自生植物、ラン、サボテン、多肉植物、ヤシなどのコレクションが中心である。47人の研究スタッフのもと、収集、調査に基づいた分類、生態、植生、保護活動や栽培研究も盛んに行われている。年間10万人の来園者がある。
(海抜 100m、年間降雨量 1,600mm)
〇コスタリカ
102 ロバート・アンド・キャサリンウィルソン植物園(The Robert & Catherine Wilson Botanical Garden)
- ラスクルーセス
- 7:00~13:00
- 1973年に創設された私営の植物園。122haの自然保護区に近接して約4,000種の植物が収集されている。主なコレクションとしては、木性シダ、サトイモ科、ヤシ、ブロメリア、ヘリコニア、ラン、ショウガ、イワタバコ科、ナス科植物などに加え、熱帯性のコニファー類やコスタリカの特産種などの保存に力を入れている。
(海抜 1,200~1,385m、年間降雨量 2,850mm)
〇ジャマイカ
103 王立ホープ植物園(Royal Botanic Gardens〔Hope〕)
- キングストン市
- 7:00~18:00
- 首都キングストン市のセント・アンドリュースの麓にあり、創設は1872年。王室植物園とも呼ばれる。ヤシを縁取りに植えたパーム・フリンジド・アベニューと呼ばれる並木道がすばらしい。奥のほうには熱帯花木や果樹が巨木となっている。中でもマメ科植物のコレクションが有名。コレクション数はおよそ940種。
(年間降雨量 1,016mm)
〇セントビンセント・グレナデン諸島
104 セントビンセント植物園(St. Vincent and the Grenadines Botanical Gardens)
- セントビンセント(西インド諸島)/キングズタウン
- イギリスが1765年に植民地である西インド諸島のカリブ海沿岸地につくった、この地域初の植物園。パンノキ、オリーブ、アヘン、ニッケイ、ニクズク、アカバナ、キナ、ワタ、バニラ、チョウジ、コショウ、ショウノウ、キニーネなどの経済植物を世界から収集し、植民地で生産するための実験基地として、その後につくられたジャマイカの植物園と共に重要な役割を果たした。園は1822年から約70年間、一時放棄されていたが、1890年に再建され、今日に至っている。現在は、ヤシ、果樹、ハイビスカス、ブーゲンヴィレア、サンタンカ、ヘリコニアなど 200種を超える貴重な観賞用を中心とした樹種をコレクションしている。
(年間降雨量 2,159mm)
〇メキシコ
105 コスモビトラル植物園(Cosmo Vitral Jardin Botanico)
- トルーカ
- メキシコ市から車で1時間
9:00~16:00
(休)月
入園料 100ペソ- トルーカはメキシコ州の州都で海抜2,600m余りの高原にある。古い市場の建物を改装し、温室とした。四方の壁面はすべて彩り豊かなステンドグラスとなっていて、他に例を見ない。幻想的な雰囲気を楽しめる場所。植物学者松田英二博士の像や、埼玉県寄贈の灯ろうもある。
106 チャプルテペック公園(Bosque de Chapultepec〔Chapultepec Park〕)
- メキシコ市
- 市内 Pasco de la Reforma Ave.突き当たり
無料- メキシコ市中心部の西側に広がる大きな公園で、緑の木立の間に池や噴水などがあり、博物館や、美術館が点在する。園の外側には色とりどりの切り花を売る店が軒を連ねている。海抜2,200mの高地にあるので熱帯的なものは多くはないようだ。
(海抜2,200mの高地)107 メキシコ大学植物園(University of New Mexico Botanical Garden)
- メキシコ市/大学都市
- 市からバス45分
- 大学の敷地内の約8haの屋外園と丸いドーム形の大温室には、メキシコ低地の熱帯植物を中心として約3,000種が集められている。また、屋外の広大な敷地の散策コースの両側には、サボテンやリュウゼツラン科などの多肉植物や樹木などが柵ごとに展示されており、歩きながらメキシコ全土のおよその植生を観察できるようになっている。リュウゼツラン科ではユッカ、ボラカルニア、ダシリリオン、ノリナなどの仲間が驚くほど立派に生育している。日本の大学にありがちな閉鎖的な様子はなく、一般人でも気軽に見学できる点はありがたい。実はこの植物園は、メキシコの植物学に生涯を捧げた松田英二先生の足跡を偲ぶことなく訪れる訳にはいかない。松田氏は第二次世界大戦後にこの大学に奉職し、1978年にペルーで客死するまで、この植物園の充実を計りつつ、中南米の植物学の研究に人生を賭された。むしろ世界に有名な植物学者であり、無教会主義のクリスチャンであった先生のエピソードは多い。
坂嵜信之 編著
尾崎 章・香月茂樹・清水秀男・橋本梧郎・花城良廣・毛藤圀彦 共著
B5判 / 上製 / 1,224頁 / 定価64,900円(本体59,000+税)/ ISBN4-900358-44-4
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