熱帯花木の代表樹
〇ジャカランダやカエンボクなど
花の特にきれいな花木を概観してみましょう。
ジャカランダは南米原産で、薄紫色の花を枝いっぱいにつけます。その花はキリに似た形で高尚なイメージがあります。遠くから眺めると紫の雲がたなびくようなので、紫雲木という和名もあるほどです。このジャカランダには、少し乾燥気味で、やや涼しい所が適しているようです。南アフリカの首都プレトリアや東アフリカ・ケニアの首都ナイロビのジャカランダは有名で、南米の原産地よりも美しく咲きます。ここは赤道直下ですが高地なので、気候がやや冷涼なせいでしょう。
ホウオウボクは大木になり、目の覚めるような赤い花を樹冠いっぱいにつけます。最盛期にこの樹を見ると、思わず立ち止まって眺めたくなります。
カエンボクは、樹があまり横張りにならず、立ち性で、燃えるようなチューリップを思わせる朱赤色の大きい花を上向きに咲かせます。この樹は強い風を嫌うので海岸近くではあまり見かけません。ゴールデンシャワー(ナンバンサイカチ)は、輝くような黄色の花をフジのように垂れて咲かせます。デイコの類は、亜熱帯でも広く植栽されます。また、プルメリアやハイビスカス、それに、ブーゲンヴィレアなどは、時を選ばず付近に彩りを添えてくれる種類で、数多くの園芸品種が広く知られています。これらの花は、色鮮やかで遠くからでもよく目につく「熱帯花木の代表」です。
オオバナサルスベリは、サルスベリよりずっと大きな花をつける種類で、東南アジアの各地で見られます。オーストラリア特産の花木、ユーカリやアカシア、カリステモンなどは、乾燥によく耐えて生育が早いのが特徴です。広く植えられていて、コスモポリタンな種類といえそうです。
坂嵜信之 編著
尾崎 章・香月茂樹・清水秀男・橋本梧郎・花城良廣・毛藤圀彦 共著
B5判 / 上製 / 1,224頁 / 定価64,900円(本体59,000+税)/ ISBN4-900358-44-4
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