沖縄に雪や霰が降った時の話
極めて例外的なことですが、沖縄では異常に寒いことがあります。琉球の史書「球陽」によると、今から180年以上前の安永3年(1811年)、久米島や伊平屋島、沖縄本島各地に降雪がありました。また、沖縄気象歳時記によると、昭和38年(1963年)2月、北陸豪雪といわれた際、沖縄本島の気温が4.6℃ぐらいまで下がり、ほぼ全島に霰が降りました。宮古では7.5℃、さらに南の石垣で5.9℃となり、窪地には霜が降り、所によっては結氷がみられたと報告されています。
記憶に新しいのは、20年前の1978年の1月から2月に襲った寒波です。名護市(沖縄本島北部)では最低温度で3.6℃となって霜がおり、沖縄本島北部地域では一日中霰が降りました。沖縄本島中部の恩納村以北に植栽されていたテリハボクは大小を問わず枯死しました。しかし、カエンボク、コガネノウゼン、ジャカランダ、トックリキワタ、ピンクテコマ、ホウオウボク、ワタノキなどの花木には著しい被害は見られませんでした。
このような数十年に一度の寒波は例外的ですが、一応頭に入れておくことが必要です。一年のうちに時折おこる、数時間、あるいは1・2日の低温は、ごく一部の熱帯植物を除き、速やかに回復して平常に戻りますから、あまり問題にしなくてもよいでしょう。
坂嵜信之 編著
尾崎 章・香月茂樹・清水秀男・橋本梧郎・花城良廣・毛藤圀彦 共著
B5判 / 上製 / 1,224頁 / 定価64,900円(本体59,000+税)/ ISBN4-900358-44-4
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