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昭和天皇による黒船採集植物の御研究

昭和天皇の御著書の中に「伊豆須崎の植物」があるが,この植物誌は伊豆半島の下田近郊の須崎にある御用邸を中心とした南伊豆地域の植物の解説である.本文の始めに述べたように,この植物誌を御執筆中の昭和天皇は昭和50(1975)年10月6日に,米国御訪問中の非公式日程として,ニューヨーク植物園をお訪ねになり,同植物園に保管されている黒船による下田での採集標本を中心に御研究になった.理由は申すまでもなく,下田の須崎は黒船隊員がかなり多くの植物を採った場所であるので,特にグレイ教授が発表した新種の原標本を中心に,黒船の下田の採集植物を御覧になることであった.

陛下の御旅程は大変お忙しく,ニューヨーク植物園での御時間も御研究には十分ではなかったので,私は後日,黒船標本の写真,グレイ教授等の論文と関連資料を陛下にお送り申し上げた.このことについて,御著書に以下のようにお書きになっている.

「この須崎の近辺は、嘉永6年(1853)と翌安政元年(1854)にペリー提督が東インド艦隊司令長官兼遣日特派大使として来航のとき,随行してきたウィリアムズ氏とモロウ博士とが安政元年4月下田に上陸して付近の植物を採集した地域である.

両氏によって採集された植物のさく葉標本の一部を,私は昭和50年訪米の際,ニューヨーク植物園のワトソン・ビルディング内スティアー研究室で,前園長スティアー博士と同園主席研究官小山鐵夫博士とに助けられて親しく調査研究することができた.なお帰国後まもなくアーウィン園長,スティアー前園長,小山主席研究官の三博士から『植物標本に関する記述――ウィリアムズ氏およびモロウ博士によって日本で採集された植物のさく葉標本の目録』が寄贈された.これはハーバード大学教授エイサ・グレイの研究発表論文である.グレイ教授はその序説において,アメリカの植物と日本の植物とを比較してゆくと興味ある事実に気づくであろうと,指摘している.私はこの論文を手にして,寄贈者の好意に感謝している.」

ハーバード大学の黒船採集の日本植物標本は,多くのアジア関係の植物学者によって研究されたが,ニューヨーク植物園所蔵の標本に関してはグレイ教授以来,その多くを閲覧研究された植物学者は実に昭和天皇であられたことになる.

終わりに,黒船による日本植物の採集品につき,その第一次(ペリー隊)と第二次(ロジャース隊)との標本を比べると,興味のある一事に気がつく.第一次のモロウ他の標本は,第二次のライト,スモール両氏の標本に比べて,標本として不完全なものが多い.つまり,枝の先を摘んだようなもの,スゲ等は株の中から花茎を中心にちぎったようなもの等,フラグメンタルな標本が多々見られる.特に浦賀,横浜や下田の植物にその傾向が多い.第二次の採集品は大形の完全な標本で,副標本の点数も多いようである(少なくとも,ハーバード大学,ニューヨーク植物園と米国国立博物館[スミソニアン研究所]に見られる).これは察するに,第一次の時にはまだ日米間の条約も締結されておらず,入国管理上では正式の上陸でなかったから,お役人の監視もきびしく,かなり難儀してコソコソと植物をむしったことであったと解される.第二次の時には,条約下で合法的に上陸し,堂々と採集したのであろう.黒船植物標本のカタログを作りながら,私はそう思った.しかし,いづれにしても,米国では,19世紀にすでにこのような植物学の基礎研究のために,大学の要請によって米国海軍がかかる便宜供与をするという態勢が存在したという一事は特記に価すべきことである.

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