左:フウリンブッソウゲ
右:「エル カピトリオ」の呼称を冠する園芸品種と思われるもの。
‘好き’は千差万別、人が植物と出会って感じるそれも例外ではありません。そしてその‘好き’になる要素もまた、その人によってさまざまだと思います。意識していないようにみえますが、自分の好きな植物を並べてみると、どこかにいくつかの共通点があるようです。
私の場合そのなかの一つに‘間’があります。隙間といってもいいかもしれませんが、間が開いていることを心地よく感じるようです。それは草姿全体の中の間であったり葉や花、茎との間、葉や花そのもののなかの間などいろいろです。
そんな隙間好きの私のアンテナを、このところビリビリ刺戟しているのがハイビスカスの「エル カピトリオ」(El Capitolio)という呼称を冠して売られている園芸品種群です。「フラミンゴタイプ」ともよばれていますが、フウリンブッソウゲのように下向きに垂れるように咲きます。
この植物のどこの隙間がというと、それは花弁と花弁の間。多くのハイビスカスは花弁と花弁が隙間無く重なって、面で迫ってくるような雰囲気があって、正直いうとこれまで少し敬遠しているところがあったのですが、これを見た時からすっかりハイビスカス好きになりました。
そんな些細なことと思われるかもしれませんが、人が何かを好きになるのは案外そんなところにあるのかもしれません。私にとって隙間は‘好間’なのです。
〔植物名入門〕各著者(50音順)プロフィールとこれまでのエッセイ
芦田 潔(社団法人日本おもと協会理事)
プロフィール伝統園芸植物「オモト」の銘を考える
岩佐 吉純(岩佐園芸研究室主宰)
プロフィール園芸植物の命名考
荻巣 樹徳(ナチュラリスト):準備中
乙益 正隆(ナチュラリスト・植物方言研究家)
プロフィール植物方言採集秘話
金井 弘夫(国立科学博物館名誉館員)
プロフィール植物の名前を考える
管野 邦夫(仙台市野草園名誉園長)
プロフィール花の名前にご用心
北山 武征(財団法人公園緑地管理財団副理事長)
プロフィール緑・花試験うらばなし
許田 倉園(元:玉川大学教授)
プロフィール植物名に現れた台湾の固有名詞
佐竹 元吉(お茶の水女子大学 生活環境研究センター)
プロフィール生薬名の混乱
下園 文雄(元:小石川植物園)
プロフィール小石川植物園に渡来した植物たち
辻井 達一(北海道環境財団理事長)
プロフィールアイヌ語起源の植物名
豊田 武司(小笠原野生生物研究会)
プロフィール小笠原の植物
中村 恒雄(造園植物研究家)
プロフィール園芸樹木の変わりものたち
藤本 時男(編集者・翻訳家)
プロフィール「聖書の植物」名称翻訳考
三上 常夫(編集者・翻訳家)
プロフィール造園植物の名前の混乱
水野 瑞夫(岐阜薬科大学名誉教授):準備中
山本 紀久(ランドスケープアーキテクト)
プロフィール実と名が違う造園植物