(財)公園緑地管理財団という国営公園の管理運営等を行っている公益法人が、平成11年から「緑・花文化の知識認定試験」というのを実施しています。
この試験の認定委員会会長をされている元文化庁長官で作家の三浦朱門様はこの試験のことを「試験に挑戦するというよりも、その解答に興味がある。そして解答は予想以上に楽しい読み物になっている。この試験は生物の入学試験ではないのだから、単なる植物の知識だけが試されるものではない。植物への愛情、関心、日常どの程度まで植物と接しているか、さらに精神生活での植物との関わりまでが試されるようになっている。」と評しています。
この試験は資格試験ではありません。ですから、履歴書の資格の欄に書くというより、趣味の欄に書く性格のものかもしれません。
それでも毎年1万人を超える方が受験しております。この人気の高さは三浦会長が言われているように、試験の後でその詳しい解説書をもらった仲間どうしや試験会場で知り合った方が、一喜一憂しながら解説書を楽しく見ながら帰っていく様子からも想像できます。
また、受験者は「咲いと」という会員制ホームページの会員になることができ、現在1500名ほどの会員がホームページ内の「緑の相談室」、「花の便り」、「おしゃべり広場」などで情報交換を活発に行っています。そして各地で友の会・サークルといった人の輪も広がってきております。
試験は平成11年から行っておりますが、この試験が実施される前の検討段階では、仮称で「植物識別能力認定試験」と呼んでおりました。この名前から想像できるように植物の性格や植物を同定する知識を検定するような試験が考えられておりました。しかし、単に植物の知識だけを試すのではなく、生活に潤いと幅ができ、人間性が豊かになるような試験が議論され、植物について正しく理解し、植物と文化あるいは生活との係わりを身につけられるような今の試験になりました。
試験は小学生の高学年でも答えられる問題が含まれています。このために漢字には仮名をうっています。また、出来るだけ若い人にも受けていただけるように、これまでは一人当たりの受験料は受験者全員同額で2,900円でしたが、今年からは中学生以下の方は1,000円としました。親子での受験者が増えてくれればと思っています。
試験会場は、今年は全国の46都市で行います。昨年の受験者で最年少は6歳の幼稚園児で最高齢の方は92歳の女性でした。男女比率は65%が女性でした。
試験の結果、成績順に特級から五級まで六段階に認定されます。大学の先生でも三級しかとれなかったという話を聞きます。専門知識や受験勉強でいい点が取れるとも限りません。植物との係わりについて日頃の生活や経験の中から得た知識が試されます。
最も成績の良い方に認定される特級は受験者のおおむね1%強です。ちなみに一級は10%台、二、三級はそれぞれ30%台の方に認定されています。昨年受験された最年少の幼稚園児は三級に、最高齢の女性は二級に認定されました。
特級を三回認定された大変な難関を突破された方には「緑花文化士」という特別の称号が与えられます。これまでに全国で85名の方がこの文化士に認定されています。また、最初から5回連続で特級を取り続けている、信じられないような方も5名います。
(※「緑・花文化の知識認定試験」は、2009年度で終了しました)
〔植物名入門〕各著者(50音順)プロフィールとこれまでのエッセイ
芦田 潔(社団法人日本おもと協会理事)
プロフィール伝統園芸植物「オモト」の銘を考える
岩佐 吉純(岩佐園芸研究室主宰)
プロフィール園芸植物の命名考
荻巣 樹徳(ナチュラリスト):準備中
乙益 正隆(ナチュラリスト・植物方言研究家)
プロフィール植物方言採集秘話
金井 弘夫(国立科学博物館名誉館員)
プロフィール植物の名前を考える
管野 邦夫(仙台市野草園名誉園長)
プロフィール花の名前にご用心
北山 武征(財団法人公園緑地管理財団副理事長)
プロフィール緑・花試験うらばなし
許田 倉園(元:玉川大学教授)
プロフィール植物名に現れた台湾の固有名詞
佐竹 元吉(お茶の水女子大学 生活環境研究センター)
プロフィール生薬名の混乱
下園 文雄(元:小石川植物園)
プロフィール小石川植物園に渡来した植物たち
辻井 達一(北海道環境財団理事長)
プロフィールアイヌ語起源の植物名
豊田 武司(小笠原野生生物研究会)
プロフィール小笠原の植物
中村 恒雄(造園植物研究家)
プロフィール園芸樹木の変わりものたち
藤本 時男(編集者・翻訳家)
プロフィール「聖書の植物」名称翻訳考
三上 常夫(編集者・翻訳家)
プロフィール造園植物の名前の混乱
水野 瑞夫(岐阜薬科大学名誉教授):準備中
山本 紀久(ランドスケープアーキテクト)
プロフィール実と名が違う造園植物