第一〇二話 水生植物のはなし
水中に生きるレースソウ
水中植物の最大の特徴は、水やりの心配がいらないこと
水生植物、水と共に生きている植物のこと。生活型は水辺、水面、水中といろいろだ。身近なもので挙げてみると、水辺はトクサ、クリンソウ、サギソウ、サワギキョウ、ミソハギ、ハンゲショウ、イグサ、ハナショウブなど。水面はスイレン、ウォーターポピー、ホテイソウ、ヒシなど。水中はフサモ類、エビモ、ササバモ、レースソウなどがある。
このほかに根を水底に張り、茎や葉を水上に伸ばす抽水植物のグループがある。例えばミズバショウ、ハス、ミズカンナ、カキツバタ、ガマなど。
植物学上は、水や湿り気の多少による分け方として、沈水植物(フサモ類、エビモ、シャジクモなど)、浮水植物(サンショウモ、ウキクサ、デンジソウなど)、浮葉植物(スイレン、ヒルムシロ、ジュンサイなど)抽水植物(ハス、ヨシなど)がある。
沈水は全体が水中に沈み、植物全体で養分の吸収をしている。
浮水は水面に浮かぶもので、体内に気室がある。
浮葉は水底に根を下ろし、水面に葉を浮かばせる。
抽水は生活型の抽水と同じ。いずれも生活型と合わせて覚えて欲しい。
身近とは言えないが、マダガスカル島産のレースソウは葉肉が欠落し、葉脈のみとなり、水中に透き通って見えて涼しげだ。急流に生えていて、水流の抵抗を少なくしているとも考えられる。
残暑が続く夏などに、涼を呼ぶ水草を楽しみながらよく観察してみて欲しい。
川上幸男 著
B6変型判 / 並製 / 301頁 / 定価1362円(本体1,238+税)/
ISBN4-900358-40-1
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