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第三章 葉の不思議

第三六話 葉序のはなし

名前を知るヒント

葉一枚では名前の判定は難しい場合もある
茎についている小葉と、序列が重要な手掛かりになります


木や花の名を知りたい、と葉を1枚だけちぎってくる人がいる。これでは、専門家でも答えに窮することがある。

茎に葉が付いている形態を葉序という。英語ではリーフ・アレンジメント。一般になじみが深いのは、「対生」「互生」「輪生」だ。この葉序に特徴があって植物名を判別できる。どこの家の庭でも、いろいろな葉序の植物があるから調べてみると面白い。

常緑のキンモクセイ、アオキ、ネズミモチや落葉のハナミズキ、アジサイ、レンギョウ、ヤマモミジは対生で、互生は常緑のゲッケイジュ、カルミア、ヒイラギナンテン、ヤツデ、サザンカ、チャ、ツバキ、モッコク、オオムラサキ、サツキ、タイサンボクや落葉のカイドウ、シラカバ、ハクモクレン、ソメイヨシノなどだ。

輪生は1つの節に3枚以上の葉がついているもの。常緑ではキョウチクトウ(3枚)、アベリア(3枚)、コウヤマキ(15~40枚)など、落葉ではミツバツツジ(3枚)があり、ちょっと見たところ輪生のドウダンツツジは「輪生状互生」だ。

草本ではエンレイソウ(3枚)、クガイソウ(3~4枚)、クルマユリ(6~15枚)、クロユリ(4~5枚)など。庭のトクサ、野のスギナはともに輪生葉があるが、退化して見つけにくい。

スギナの節からでている茎を葉と信じている人が多いが、よく見ると節々に退化した葉が付いているのが分かる。

植木屋さんがツゲといっているのはイヌツゲのことが多い。葉序を見ると互生で、花も白い小花が付くモチノキ科。本物のツゲは対生でツゲ科だ。ホンツゲ、ヒメツゲなどが庭でよく使われている。

落葉針葉樹のメタセコイアと落羽松も外見はよく似ている。葉の配列はメタセコイアは対生、落羽松は互生。小葉の配列は、メタセコイアは互生で、落羽松は対生だ。落葉中高木のミズキとクマノミズキもとてもよく似ているが、葉序を見ると明瞭に区別できる。ミズキは互生で、クマノミズキは対生だ。

しかし、自然界は複雑で、輪生がいつのまにか対生に化けることもある。山野草を栽培していて、クルマバヒヨドリが対生葉になった経験のある人もいると思う。原因は栄養不良で発育が悪くなったからと見られている。

このように、植物の体には葉の付き方にまで細心の配慮がなされている。

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