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泉宏昌先生オリジナル原稿 ③ 『野外活動指導書刊行の基本企画』

(注:印は、内容不明)


  1. 書名 未定

    試案として〈フィールド百科。フィールドブック。アウトドア百科。等〉

  2. 体裁

    A5判。本文横二段組とし、本文・写真・イラストレーションにて合計約500ページ

  3. 刊行の主旨

    一般に野外活動・野外生活と呼ばれるものは極めて多様であるし、その参加者も無数ということができる。とはいえ、それらのうち真に野外(Out door)の名を冠し得るものは、果たしてどれほどであろうか?

    それは、ここにいう野外とは、即ち自然そのものと意識されるべきであり、従ってそれとの対応において、それを単に観賞・利用・甚だしきは征服の対象とするのであれば、それは到底野外での生活あるいは活動とは呼び得るものではないからである。真の野外活動とは、仮に短期間の餘暇利用であるにしても、自然の境地にあって、そこに存在し生活する他のすべての生物と同列の構成員としての生活の上に立つものでなければ、真に自然を愛することはできないし、この活動もあり得ない。

    本書は、この観点のもとに、自然環境下における生活と諸活動の考え方と方向についての指針となり、同時にこれは、他のすべての存在を愛し、現象に直面すべきものであるから、それら自然界を理解する一助であることを期して刊行するものである。

  4. 内容の構成

    本書は前項の主旨に基づいて、天然自然の境地を教場とする諸種の活動の意義とその方法の要件を従前の類書といささか異なった内容によって構成した。

    即ち、活動の舞台であり背景でもある野外の環境そのものを形成する植物・動物あるいは現象への理解と対応を説き、自然を愛護することへの第一歩とし、また、活動即ち自然と共に在るための根源となるものの考え方と方法、それは一般にWoodcraftあるいは範囲を狭めてCampcraftと呼ばれるものだが、その正確な展開を解明して、その実施への手がかりとし、それに加えて、活動の幅員を広げ、そのを高めるために現場の環境に応じ必死真剣な努力によって、より豊かな人間作りに寄与する広義野外スポーツの基本知識を述べた。各項に亘って安全・救護等について説明を加えたことは当然である。

    以上の3要点は、いずれも密接な相関関係に結ばれるものであるから、教科書的な項目別に排列することは必ずしも適当とはいえない。ただし本書が、一般の野外活動愛好者のみでなく、スカウト・キャンパー或はそのリーダー等にも多く読まれることを期待して、その指導用乃至実地での活用に役立てやすいために上記の三区分を、更にいくつかの小見出しによって小区分した。且また、たとえば年長のスカウトが、野外活動の場において必修種目とされる幾多の技能の自修のために、副読本として利用し得ることをも考慮した。またそのために、記事・写真・図解の全部を、特に比較対象等の必要があるものを除いて、日本現存のものから取材して新たに書きおろし或は撮影した。

  5. 記述の方針

    本書は、先ず実地実際の場における必携のマニュアルであることを第一義として、できる限り実技的・具象的なものとした。また、文章的記述は、各項目ともなるべく総論的又は前提的なものに止め、その他は適切な解説を付けた写真又はイラストレーションによって表現することに充分な紙数を充てた。

  6. 企画・執筆・監修

    刊行の主旨に基づいて、活動指導の経験者および野外生活教育を主とする青少年団体等の指導者等を中心とする編集委員会を設けて、企画および監修を委嘱し、同時に野外の諸活動についての経験者および専門的項目についての学識者ならびに専門機関・団体などに執筆あるいは資料等の提供を依頼し、多大の協力を得た。


参考 500ページ

主な内容の概案

  1. 美しい日本の自然
    世界有数の多様性を持つ日本の自然界
    地球・気象・天空(太陽系・星・月)
    資源保全(水・土・植生・野生動物・生命のリサイクル・人間のマナー)
    植物(樹木と樹林)
    動物(進化・野生動物の種々・観察・保護)
  2. 自然と共に生きるために―智慧と方法
    すべては〈歩き〉から始まる
    ハイキング・地図・方位・距離
    キャンピング・その装備・テント・寝具・生活のプログラム
    場所・設営・撤収・安全 工具(木工具・土工具・管理と使用法)
    ロープワーク

    食品(炊事・調理の原則と基礎技法・献立衛生)
  3. フィールドスポーツ  
    健康の維持と増進
    安全と救急
    スポーツの精神(真剣な楽しみ)
    水泳と水上活動(ボート・カヌー・ヨット・ダイビング)
    冒険(岩登り・バックパッキング・トレッキング・長距離旅行・自然歩道・歴史歩道)
    サバイバル(生き残りの条件・通信・食糧・モラル)
    冬季キャンプ

以上の概案に対し、編集の進行・紙数の調整等に伴って、項目の増減・記述綱目の取捨を行なう。

(内容概案―81年8月1日現在)

1 イチイ
2 カヤ
3 イヌガヤ
4 モミ(ウラジロモミ)
5 シラビソ
6 オオシラビソ
7 トドマツ
8 トウヒ
9 エゾマツ
10 ツガ
11 コメツガ
12 カラマツ
13 ハイマツ
14 アカマツ
15 クロマツ(ヒメコマツ、ゴヨウマツ)
16 スギ
17 ヒノキ
18 サワラ
19 ネズミサシ(ハイネズ)
20 アラカシ(アオガシ)
21 シラカシ
22 ウラジロガシ
23 ツブラジイ(スダジイ)
24 ハルニレ
25 オヒョウ
26 アキニレ
27 ケヤキ
28 エノキ
29 コウゾ
30 ヤマグルマ
31 フサザクラ
32 カツラ
33 ムベ
34 アケビ
35 メギ
36 コブシ(タムシバ)
37 ホウノキ
38 サネカズラ(チョウセンゴミシ、マツブサ)
39 シキミ
40 クスノキ
41 ヤブニッケイ
42 タブノキ
43 シロダモ
44 クロモジ(アオモジ)
45 ダンコウバイ(シロモジ、アブラチャン)
46 ガクアジサイ(アジサイ、ヤマアジサイ、エゾアジサイ、タマアジサイ、コアジサイ)
47 イワガラミ(ツルアジサイ)(ノリウツギ)
48 ウツギ
49 トベラ
50 マンサク
51 イスノキ
52 ヤマザクラ(オオヤマザクラ、カスミザクラ、ミヤマザクラ)
53 ウワミズザクラ(イヌザクラ、シウリザクラ)
54 ズミ
55 クサボケ
56 ヤマブキ
57 ザイフリボク
58 ナナカマド
59 アズキナシ(ウラジロノキ)
60 シモツケ
61 ハマナシ
62 フジ(ヤマフジ)
63 ハギ(ミヤギノハギ、キハギ、ツクシハギ)
64 サイカチ
65 キハダ
66 サンショウ(イヌザンショウ、カラスザンショウ、フユザンショウ)
67 ニガキ
68 ユズリハ
69 ツゲ(イヌツゲ、ツルツゲ)
70 ドクウツギ
71 ハゼ(ヤマハゼ、ヌルデ)
72 ツタウルシ
73 ウルシ
74 ソヨゴ
75 アオハダ
76 ニシキギ(マユミ、ツリバナ)
77 ミツバウツギ
78 ゴンズイ
79 モミジ(ハウチワモミジ、ウリハダカエデ、オガラバナ)
80 チョウジャノキ
81 トチノキ
82 クマヤナギ
83 マタタビ
84 ヒサカキ
85 アキグミ(ナツグミ、ナワシログミ、ツルグミ)
86 ハリギリ(タカノツメ、コシアブラ、ウコギ、タラノキ)
87 ミズキ
88 ヤマボウシ
89 ハナイカダ
90 リョウブ
91 シャクナゲ
92 レンゲツツジ
93 アセビ
94 サワフタギ
95 ハクウンボク(エゴノキ)
96 イボタノキ
97 トネリコ(コバノトネリコ)
98 ムラサキシキブ
99 クサギ
100 クコ
101 ヤブデマリ
102 ガマズミ(コバノガマズミ)
103 オンボク
104 オオカメノキ
105 タニウツギ
106 スイカズラ
107 ヒョウタンボク
108 ウグイスカグラ
109 ニワトコ
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