この六月二十六日で小笠原は復帰十五周年を迎えた。
江戸幕府の小笠原探検、明治九年の領有権確定のあと、開拓移民が送り込まれて父島、母島の開発が進んだ。だが太平洋戦争末期、戦火の中を島民六千八百十六人が本土へ強制疎開。そして戦後の長い米軍統治からやっと昭和四十三年に日本へ返還された。
本書は、この歴史と小笠原の風物を全島民が本土へ疎開させられた昭和十九年まで克明に写真でみせてくれる。編者が足を棒にして集めた資料写真は八百枚という。復帰十五周年にふさわしい本といえる。(アポック社=鎌倉市岩瀬九〇五、A5判、二七二ページ、三二〇〇円)
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