1990年 新聞
川崎市 近藤 三雄(東農大教授 41歳)
四月一日の開幕に先立ち、大阪・鶴見緑地の「国際花と緑の博覧会」の内見会に招かれた。相変わらず企業のパビリオンが 幅をきかし、遊戯施設も目立つ。さながら各所で開催されている駅弁博覧会の豪華版プラス遊園地といった様相である。
主役であるべきはずの肝心の花と緑は、会場を飾る道具でしかないというのが率直な感想である。また、本来、この博覧会の最も重要なテーマであると考られる、今後、われわれの生活環境の整備、つまり都市の緑化とはいかにあるべきかということに関する企画が欠如しているように見えたのも残念である。
また、来場者に会場内の花と縁に親しんでもらうことも、この博覧会の重要な意義の一つであるにもかかわらず、温室を除き、会場内を飾る植物には、ほとんど名札が付けられていないことはどろしたことか。
花と緑に親しんでもらうためには、どんなお題目を唱えることよりも、まず名前を知ってもらうことが何よりである。瀟酒(しょうしゃ)なデザインの名札が付けられることを熱望する。外国人の来場者にも分かるように、せめて英名、学名の併記もお願いしたい。
名実ともに花と緑の博覧会とするための、ささやかな提案であるが、関係者にぜひ一考願いたい。
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