1989年6月15日 朝日新聞
二宮町のJR二宮駅北側にある吾妻山公園にこのほど、薬草園ができ、今月に入って園内の木々には、五百枚の樹名板もつけられた=写真。大磯町教育委員で園芸研究家の吉川利雄さん(六一)の協力によるもので、町民の憩いの場だけでなく植物観察園にもなっている。
約十一ヘクタールの面積がある同公園は、昭和五十七年から整備が始まり六十二年三月に完成した。花木園やアスレチック、小動物園などがつくられている。元県立平塚農高教諭で、「身近にある薬用植物」「食べられる身近な山野草」などの著書もある吉川さんは、同町の委嘱を受けて来年二月までの一年間、同公園の植生調査を行っている。
薬草園は、花木園の中につくられており、レンガで区分けされた五十八区画にドクダミやハトムギ、アマチャヅル、ヤマユリ、ツリガネニンジン、レンギョウなど約七十種類の薬用植物が植えられている。吉川さんが、四力月かけて同山をくまなく回って探し出したものばかり、種別に名札がついていて、薬用に使う部位や効能、成分、漢方などについての解説が書いてある。
「身近にある植物で、安全なものばかりを集めた。薬草園で観察して、散歩 の途中などでみつけたら生薬として役立ててもらえれば。一年草は入れ替えてもっと多くの種類を紹介したい」と、吉川さんは話す。
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