1985年6月 日経流通
日曜日の東京・井の頭公園。番号札のかかった木の前に立ち止まり、手に持った紙に木の名前を書いては走り去って行く小学生の姿が目立つ。「何をやっているの」と聞くと、「これはグリーンアドベンチャー」というのである。
このグリーンアドベンチャーとは、木にかかった一から五十までの番号札の順番に歩きながら、木の名前を答えていくゲーム。多くの公園の入り口付近にはヒントを書いた用紙が置いてあり、実力に合わせ、初級(二十問)、中級(四十問)、上級(五十問)のコースを選べるようになっている。終点の解答掲示板で答え合わせするという単純な遊び。大会の際は時間制限があるが、ふだんはのんびり景色を楽しみながら、用紙に記入していけばよい。
このゲームは「公園をただ歩くだけでは物足りない、みんなが忘れかけている木の名前を覚えながら自然と接する方法はないか」と、青少年交友協会理事長の森田勇造氏が五年前に東京・新宿御苑で始めたものだ。今や全国で十五ヵ所、東京都内では新宿御苑のほか、日比谷、北の丸、井の頭の各公園で楽しめるようになった。
熱心なのは小・中学生で、それもクラス単位で理科の授業代わりにグリーンアドベンチャーに取り組む。東京・八王子市四谷中学校の渡嘉敷裕教頭は「野外レクリエーションと授業が一緒にできるため、生徒に人気がある」と話しているが、日曜日には家族連れや会社ぐるみで弁当を持参してこのゲームを楽しむ姿も見受けられるという。
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