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ハナキササゲについて

ハナキササゲ
ハナキササゲ
Catalpa speciosa Warder ex Engelm. (黄金樹)
〔Catalpa…北米ノースカロライナ州の地名、speciosa…美麗な、Warder ex Engelm.…植物系統分類学者の名前〕

北アメリカ中部地方に多く分布するハナキササゲ(Catalpa speciosa Warder ex Engelm.)は同属の中国原産のキササゲ(Catalpa ovata G.Don)より花が大きくて美しい。

花はトランペットに似て、長さ5.0~7.5cmと大きく、白い筒状の花弁の中に、やや広い黄金色のすじが通り、その上に紫褐色の斑点をちりばめ、とても明るく、かすかな芳香をただよわせる。

一つの花房の各小花枝に十数箇の花を咲かせ花数が多く成木では葉が花で被われるほどである。

花期は6月中旬下旬で10日から二週間位、肥えた土地では生長が早く、植栽して5年位で開花をはじめる。

ハナキササゲの化石は、今から1500万年前の第3紀新世代の日本の地層から、ユリノキの葉の化石に混って発見されるので、我国にゆかりの深い花木である。

ユリノキを「兄の木」とすれば、さしずめハナキササゲは「妹の木」と呼んでよいかも知れない。

樹高は20mに達し、幹の直径は1.2mにもなる。枝張りがよく、樹下に広い緑陰をつくるので並木づくりに最も適し、15m内外の巾で20~30mの長さの緑地帯に40平方メートル当たり1本の割合で不規則に植栽し、枝を2m位に切り上げ地面には地被植物を植え込み、ところどころにベンチなど設置した「憩いの緑陰」づくりの木としても好適である。

また、街角などのシンボルの木として植えるときは高さ1.5m底辺2.5m位の不等辺三角形の頂点部に3本を寄せ植えすると風害を受けることが少ない。

この木で並木をつくるときは植栽間隔は6~7mが適当である。

相当強い剪定に耐えるので風当たりの強い場所に植えたときは植栽後数年経った時点で枝抜きをするのがよい。

この木の材は重さの割合に丈夫なので、アメリカでは飛行機のプロペラ材として用い、また木目が美しいので、高級な家具やオーディオ、テレビなどの外装に用いられている。

岩手県の気候条件としては標高400m以下であれば順当な生育をする。

概ねスギの適地がこの木の適地と考えれば間違いがない。実生苗(春まき)で多量に増殖することができるので、最初に植えた木はやがて採種用母樹としての役割を果たすことになる。

蒴果(30~40cmと大きい)は利尿剤としての薬効があることでよく知られている。

この木はノウゼンカズラ科に属する。

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