マサキの名は、若い枝が緑青色で、冬に葉を落さないばかりか、緑の色合いも夏と変りがないので、真青木(マサアオキ)と呼んだものがつまって、マサキとなったとする説と、昔、この樹を籬(まがき=ませがき…竹や柴なとをあらく編んでつくった垣)の竹や柴の代用として植え、これをマセギと呼んだが、これが転じてマサキとなったとする説とがあります。しかし、どちらが正しいのか、はっきりしていません。
マサキは日本と朝鮮や中国に分布する「にしきぎ科」の常緑植物で、わが国では、昔から愛好者が多く、したがって園芸品種もギンマサキ、キンマサキ、フイリマサキ、オーゴンマサキ、ニシキマサキ、キバマサキ、ベッコウマサキと数多く、これらはいずれも普通に出廻っているので、よく見かける葉の大きい品種です。
ところで、江戸時代の中期に作出されたヒバリマサキは、葉も丈も小さい品種でしたが、今は殆んど見当りません。
カワチマサキ(別名コバノマサキ)はこのヒバリマサキほどではありませんが、小葉が特長で、丈は一般のマサキよりやや小型の木です。だから庭木にはもちろん、生花用たまに生垣用に用いられます。しかし、現在、まことに品不足で、わずかに生花用として、ときたま盛岡に県外から入ってくるに過ぎません。
- 育て方
半日かげの場所を好み、土質を余り選ばないので作り易く、樹勢、耐寒性は一般のマサキに劣りません。しかし早く大きく伸ばしたいときは、水持ちのよい良く肥えた土を選び、さらに有機質の肥料を与えて樹の生長を促してやります。
- 手入れ
風通しが悪いところでは、枝の先端部分の若い葉に点々と、ウドンコ病がでることがあります。しかし全体に及ぶことはまずありませんので、カワチマサキは病気に強い樹だといえます。
つぎに虫害ですが、一般のマサキにもつくカイガラムシとマサキスガがあります。幹についたカイガラムシは、使いふるした歯ブラシで、こすり落します。
マサキスガは幼虫が糸を出して巣をつくりますので、見つけ易い害虫です。
- ふやしかた
小枝が15cm位に伸びたものを、親枝に3cm位の小枝を残して切りとり、5cm位まで下葉をもぎ、まる一昼夜の間、「さし穂」を水の中に浸します。
さし木をする場所は、一日に朝日または夕日が小一時間位さし込む日陰の多い場所で、深さ約20cmに堀り起こし、土をよく砕いておき、ここに水漬けした「さし穂」を、5cm四方に一本の割合いで、葉をもいだ部分(5cm)まで、まっすぐにさし込みます。最後にタップリと如露で水をかけてます。このあと上が乾かないように、ときどき水を与えると、2か月位で完全に発根します。
さし木の時期は盛岡地方では、6月と9月はじめの2回です。カワチマサキをさし木でドンドンふやして育て、生きた緑の生垣の多い街づくりに役立てましょう。
岩手緑化研究会
〔採録・Aboc Works〕カテゴリリンク