1993年8月『花とみどり』岩手緑化研究会報 No.7 (P5)
毛藤勤治
アオキは宮城県が北限だといわれていましたが、常緑種に乏しい東北地方では、アセビやドウダンツツジなどとともに、耐冬性の強いものが定着するようになりました。本会が力を入れているアオキ「星座」も、その一つと言ってよいと思います。本会が育成した「星座」はいずれも雌ですので、これを庭に移すときは、必ず雄のアオキを近くに植えなければ、あの美しい実はつきません。昔の庭師さん達は、赤い実が沢山なるアオキを希望されると、雌の木の後ろに、ひっそりと雄の苗木を植えつけました。
私は、玄関わきにアオキ「星座」を植えていますが、毎年、ゾックリとまっかな実がなるので訪れた人びとが驚いて目を見張ります。そのわけは私も昔の庭師さんがやったように、雄の木を、雌の木の裏に植えておるからに過ぎません。アオキを並べて植えるときは、雌の木から挿木(非常につき易くて簡単)苗を作り、これを定植するとき、5~8株おきに、雄の木を「とも植え」(一緒に植えること)しておくようにします。早春赤くて美しい実が沢山なるアオキが楽しめます。なお、団子になるほど多くの実を一房につけたいときは、雄花を穂のまま摘んできて、人工授粉(晴れた日の午前10時ごろがよい)を、開花中3~4日おきに行います。雄の花は、花の中央にある四本の「おしべ」の先に黄色い花粉をつけているのですぐわかります。
つぎに挿木ですが、入梅したら、前年の葉付きの枝を3~4節(葉のつけ根が節)つけて切り取り、まず頂上の葉、3枚を半分づつ残し切り棄てます。次に元の方の葉は茎の根元で切り離し、土に挿す最下部は節のすぐ下(5ミリ以下)で切ります。というのは、新しい根が、この節の部分から出るからで、茎が長く残っていると発根が遅れているうちに腐敗菌に侵されるからです。挿床は半日陰を選びます。
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