樹木に名札をつけて欲しい―と市民の間から要望が出されて久しい盛岡市内丸の岩手公園に、市内の篤志家の寄贈でやっと樹名表示板が設置され、同公園を訪れる人たちから「子供の理科の勉強にも役立つ」と喜ばれている。
樹名表示板を寄贈したのは、同市加賀野一丁目の会社顧問毛藤勤治さん(六七)。樹木に直接かけるプレート型、土中に埋め込むボックス型など三種類、四十枚の表示板は特殊樹脂加工で原産地、分布状況、科目などが刷り込まれており、風雨にさらされても大丈夫という半永久的なもの。「緑に名前を」のキャンペーンが全国的に展開されているが、「かけ声だけではだめ、形に残るものを…」と、今回市に寄贈した。
農学博士の肩書を持つ毛藤さんは、自宅庭に育苗施設をつくり、北米原産のユリノキなど数種類の苗木を育てており「百万本植樹運動」を展開中の市“グリーンバンク”にも、ユリノキ、ハナキササゲ各五百本を寄贈した。
ことしで開設七十周年を迎える同公園は、市内で最も古い歴史を持つ。樹種更新や新植が計画的に進められており、現在、約五十種類、数千本が公園内を覆い、憩いの場として親しまれている。
しかし、緑に対する市民の関心が高まるにつれて「これだけ豊富な樹木がありながら、名札がないため何の木かわからない。早く名札をつけて…」という要望が相次いでいた。“台所”が苦しい市当局は、名札の必要性は認めながらも、これまで実施できずにいただけに毛藤さんの善意に感謝、「残る樹木にもできるだけ早く名札をかけたい」と検討している。
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