盛岡市出身の毛籐圀彦(くにひこ)さん(62)=神奈川県鎌倉市在住=が会長を務め、植物関係の名札制作や出版などを手掛けるアボック社(同市)が運営する携帯電話の植物サイト「はなせんせ」がじわりと人気を広げている。花の図鑑として活用できるとともに、見つけた植物を携帯電話のカメラで撮影し名前を尋ねることなどをきっかけに、会員の新たなコミュニケーションが生まれている。
同サイトは昨年6月に開設。約2万種類の園芸植物や野生植物をデータ化し、携帯版の植物図鑑として活用できる。携帯電話のカメラで植物を撮影し掲示板に投稿、掲載すると、ほかの会員からその植物の名前や特徴などの情報が提供される。植物学などの専門家も対応する。
携帯電話のカメラで1つの植物の名前を教え合うことをきっかけに、会員間でサイトを通じた交流が活発化。植物を植えた体験談や、植物に関する食べ物、美術の話など書き込みの幅が広がっている。書き込みの数も1日当たり50-60件と徐々に増えた。
植物は商品名や通称などで呼ばれるケースが多いが、本当の名前を知ることで植物の文化の広がりにつながると考えたのがサイト立ち上げのきっかけ。毛籐さんは「当初の予想とは異なり、花を通じたコミュニケーションが生まれた」と喜ぶ。
会員は現在、全国に約7200人で、岩手では約60人。毛籐さんは「日本の中で気候条件が整っている岩手は固有の植物が多く、植生的に豊かだ。花き生産農家も高いレベルで挑戦している人が多い。花の文化が大きく広がる素地がある」と話し、本県からの植物の情報発信の広がりにも期待する。
サイト利用には「はなせんせ」の会員登録が必要。登録は無料だが、利用には携帯の通信料がかかる。閲覧はパソコンからも可能だ。
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