春らんまんである。花が咲き、新緑は輝く、その植物の名前がわかったらもっと楽しい。これまでならポケット図鑑を持って、という話になるのだが、いまは携帯電話があればいい。
携帯電話附属のカメラで、興味がわいた花や木の写真を撮って、携帯専用サイトのはなせんせの電子掲示板に投稿すれば、名前を教えてくれる。
最初の接続のときにニックネームなどを登録し、あとは無料で利用できる。植物になじみがなくても手軽に使える。植物の専門家たちが質問を見て、簡単な場合はすぐに、悩むようなケースでも2、3日で必ず答えが返ってくる。
投稿者は写真だけでなく、見つけた場所や季節、野生が園芸植物か、生育環境などの情報も書き込む。
「チューリップの仲間だと思うんですけど…」などのコメントもつけていい。
こうした情報を総合的に判断すれば、画像が小さくても何の花や木なのか、専門化にはわかるという。素人が植物図鑑をめくっても、あれかこれか迷いがち。携帯電話の向こうの専門家の方が安心感がある。
名前がわかれば巨大なデータベースが使える。野生植物約5000種、鉢物、観葉、花壇苗など市販の植物約1万5000種の計2万が網羅されている。
たとえば、ヤマザクラで検索してみると、花などの写真が15枚=写真、シーボルトコレクションに収録された植物画もある。分布情報や育て方も書いてある。白山桜とも呼ばれ、吉野山が名所、ということまでわかる。
昨年6月にスタート、登録者は3300人。運営主体は、特定非営利活動法人・栽培植物分類名称研究所(理事長、大場秀章東京大総合研究博物館前教授)。植物学、園芸、造園の専門家が支えている。
事務局長の森弦一さんは植物や自然史などが得意な編集者。「植物も友達と同じです。正確な名前で呼んで親しんでほしいんです」と話す。
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