ユリノキは、北アメリカ東部原産の高さ六十メートルに達する落葉高木で、モクレン科に所属し、仲間は中国の奥地に残存のシナユリノキ一種のみが知られる。
この木は、明治八年に日本に渡米し、街路樹などで顔なじみとなって、わが国ににもすっかり定着しているが、プラタナスほどに知る人は少ない。木の姿が美しく、花はチューリップそっくりで、葉が変っているなどの特性をもつ。
本書は、ユリノキという一品種にこだわり、分類や名称、植物地理や分布、発見の歴史や原産地の様子など詳しく解説した専門書。
内容は(1)ユリの木という木(2)ふしぎな形態(3)アパラチア山麓のユリノキ(4)ニッポン物語(5)都市と田園のユリノキ(6)ユリノキ実験考などで、巻末に移植や実生苗の作り方が説明され、ユリノキの見られる場所が付いている。
(B六判、三〇一ページ)
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