都南の畑に300種 形や色が整う
本県にふさわしい緑を増やすことを目的に、緑化推進活動を展開している岩手緑化研究会(毛藤勤治会長、会員十七人)は、昔から本県にもなじみのクサキョウチクトウ(別名オイランソウ)の品種改良に取り組んでいる。
品種交配によって病害虫に強く、草丈のそろった品種の育成ができるまでになり、会員から借りた紫波郡都南村白宮沢の花畑十五㌃に見事な花を咲かせている。将来は優性品種を県内に普及させたいとしている。
クサキョウチクトウは、北アメリカ原産の多年草で、ハナシノブ科。古くから日本の庭で植えられ、県内農家でも見かけることが多い。茎は一株に数本以上直立し、高さは1㍍ほどになる。夏に紅紫色、白色などの美しい花を数多くつけ、十月ごろまで咲き続ける。花言葉は「私の胸は燃えている」。求愛の花にふさわしく、繁殖力が強い。
クサキョウチクトウの品種改良を思いついたのは毛藤会長。本県では昔からなじみの花なのに、花穂形態がよく整わず、色も今一つさえないことから、クサキョウチクトウ本来の美しさを引き出すことに挑戦した。三十五年ごろに、米国から苗を取り寄せ、自宅の畑で交配、淘汰(とうた)による育種研究に気長に取り組んできた。
その結果、病害虫に強く、花色も紅紫、白を主体に増やし、花穂形態もボール型、アンブレラ型、ピラミッド型に整った品種の育成に成功した。引き続き岩手県緑化研究会として品種改良、栽培普及を手がけることになり、昨年秋、会員から借りた牧草地を花畑のし、種をまいた。
いま、花畑は真っ盛り。フランスでは香水の原料にしているだけあって、香りに酔うかと思うほど。毛藤さんの話では種類は三百を越すという。
今後の育種研究は、品種を花の色ごとに系統別に分け、まだ実現していない黄色の花を作り出すのが夢。栽培面積をさらに増やし、種子の採取などに見通しがつけば、希望者への提供も検討することにしている。
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