1984年3月27日 北海道新聞
シアトルで肖像写真家として活躍していたE・カーティス(一八六八~一九五二)は、三十歳を過ぎてから北米インディアン文化の記録を志し、生涯に八十以上の部族を訪れ、四万枚以上の写真を撮った。T・ルーズベルト大統領の援助を受けて三千ドルという超豪華本「北米インディアン」を刊行して注目を集めたが、その後は長く米国民からも忘れられ、一九六〇年代後半から再評価されるようになった。
その代表作百五点を精選したのがこの写真集で、族長や老婆、少女などのアップに思わずハッとするような詩情が漂っている。写真は神秘なものに祈りをささげるオガララ族に男性。淡いセピア色で印刷され、じっとたたずむ老人の祈りの声まで聞こえて来るようだ。
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