十九世紀末のアメリカ北西部、ワシントン州にある開拓基地の町シードローウーリーを足場に活躍した巡回写真師ダリウス・キンゼイの作品集。キンゼイ一家のアルバム集と、山岳写真集、開拓農民の労働写真から構成されたこの作品の初版が一九七五年秋に出されると多大の反響を巻き起こして三版を重ねたのは異例のこと。アメリカの誇りである開拓精神を生の写真に記録しているからであろうが、当時としては卓抜な写真技術、それと四千五百種に上るネガの保存の良さも驚異的だ。
作品は開拓時代終期の一八九〇年代に始まり、一九二〇年までにわたり、アメリカの生活史、開拓史の変還を知る上でも興味深い。写真は千古の巨木の切り出し作業に従う開拓農民たち。(アボック社出版局・一万七千円)
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