2018年3月15日 さいたま市図書館報 さいたま来ぶらり通信 第36号
川崎哲也/画 大場秀章/編
アボック社 2010年
川崎哲也(1929-2002)は、植物学者牧野富太郎と京都のサクラ品種収集家の第15代佐野藤右衛門に師事して、サクラについての指導を受けました。特定の研究機関には属さずに、個人で研究を続け、多数の功績を残しています。また、教員として、旧浦和市の公立中学校で理科と技術科の授業を担当する傍ら、吹奏楽部の顧問を務め、熱心に指導したことでも知られています。
川崎が遺したサクラの写生図をまとめた本書は、図譜としてはもちろん、ボタニカルアートの作品集としても見応えがあります。写生図の中には、旧浦和市で採取されたサクラを描いたものもあります。花びらや葉の先端まで繊細かつ緻密に描画されており、川崎のサクラ研究に対する熱意がうかがえます。
サクラ研究に携わる人も、そうでない人も楽しませてくれる1冊です。