1996年5月号 (財)リバーフロントセンター 「FRONT」
(財)自然保護協会(NACS-J)と(財)世界自然保護基金日本委員会(WWF Japan)の編集による、植物群落のレッドデータブックが発行された。これは、日本の全植物種の六分の一に絶滅の恐れがあるというショッキングな内容で話題を呼んだ、植物種のレッドデータブック『我が国における保護上重要な植物種の現状』(一九八九年)の姉妹編。
今回のレッドデータブックには、緊急に保護を必要とする植物群落が七四八二件リストアップされている。人の立ち入りや各種開発行為、汚染物質の投棄・排出などのさまざまな影響を取り上げ、多くの群落で新たな保護対策が必要なことを訴えている。
植物が生育して次の世代を残すためには、土壌や光などの周辺環境のほか、受粉や種子の散布を担ってくれる昆虫や小型哺乳類の存在が必要である。この本は、遺伝子や種子レベルだけでなく、生態系という大きな視点に立った自然環境の保全を目ざそう、という呼びかけにもなっている。
我が国における保護上重要な植物種および植物群落研究委員会・植物群落分科会編集
/NACS-J・WWF Japan発行/B5判・1500頁