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木とのつきあい方 この一冊で

続・樹の本

1984年3月31日 朝日新聞

1984年3月31日 朝日新聞

芳香ある木・野鳥が喜ぶ木…特徴すぐわかる表付き

東京の財団が出版

「樹皮の美しい木」「芳香のある木」「記念樹向きの木」など、これまでの図鑑にはなかった見方で分類したハンドブックが出版された。何も知らない人でも、眺めただけでどんな木かわかるユニークな一覧表もある。「木とのつき合い方を知りたい人が都会にもいっぱいいるのに、方法がわからない人のために」と編集者たち。発行した財団法人・サンワみどり基金(渡辺忠雄理事長)は、「郵送実費を送ってもらえば、無料で本を差し上げます」といっている。


「街と庭を緑にするためのカラーガイド」と副題をつけたこの本は、サンワみどり基金が緑のキャンペーンのため八〇年に出版した『樹(き)の本』の続編。

最初に出した『樹の本』は、「樹と仲よしになるために」という副題で樹木を見分け、親しみを持ってもらうため図鑑的な要素が多いハンドブックだった。今回の『続・樹の本』は、編集方針を大きく変えて、実用的価値、それも「見方を変えれば、こんなにもいろんな木がある」という点を強調した。

たとえば野鳥が来る庭を造りたい、と思ったら「色鮮やかな実をつける木」の項を見るとアオキ、イチイからラカンマキまで六十種がズラリと並んでいる。このうち常緑が二十八、落葉が三十二、つる性が三、高さが五㍍以上になる高木が十七などの木の特徴が表から読みとれる。

五月から鳥を呼ぼうと思ったらサクランボ、ガマズミ、ウグイスカグラを選ぶことになる。色の組み合わせを考えて黄色の実がほしければカラタチやカリン、といったふうに決まってくる。念のため「人体を害する木」の項を見るとイチイ、センダンなどの種子は中毒を起こす可能性があるので、幼児が実を口に入れる可能性があるときは注意する、などの判断も出来る。

このほか、「湿地に強い木」「排気ガスに耐える木」「海辺の土地に強い木」「斑入(ふい)り植物」「生け垣やバリヤー」(トゲなどがあるもの)に向くものなど目的別にまとめてある。

編集したのはアボック社の毛藤圀彦さん(四〇)ら。

アボック社は、学名を正確に表示した植物のラベルを作ることなどが業務。毛藤さんは、植物との触れ合いを求めるエコロジストとして、学者にも知人が多く、故・本間啓東京農大教授に総監修をしてもらった。植物プランナーの坂嵜信之さんをはじめ、国立科学博物館、農水省林業試験場などの専門家も本づくりに参加してもらった。

サンワみどり基金は、「公害防止に役立ち、生活に潤いを」という目的で植樹運動を進めるため三和銀行が七一年に設立、昨年度までに三十五万余本の木を植えている。

同基金の玉井巌(たかし)さんによると『樹の本』はこれまでに無料で二十四万部発行した。『続・樹の本』はとりあえず十二万部印刷して緑に関心を持つ人ならだれにでも郵送するという。


※注:現在のお問合せ先=公益財団法人 三菱UFJ環境財団へ。送料はHPでご確認ください。)

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