「樹木1612種を主観交え紹介~造園家 野田坂伸也さん(70)」
(米山正博氏)植物を意識した庭造りを、岩手県滝沢村に居を構えて続けてきた。年齢を重ねるにつれ、心をひかれたのは雑木林風の自然な庭だ。
どんな木を選ぶべきかは、四つのことをもとに考えてきた。庭木としての魅力、木の性質、使い方、育つ地域。だが、他の造園家には、植物を知らない人が意外に多いと気づいた。「参考になる本も少なく、たくさん種類があるのに、多くの人は100種くらいから同じものばかりを使っている」
そう感じていたら執筆の話が舞い込み、樹木1612種を盛り込んだ「木を選ぶ・野田坂造園樹木事典」(アボック社)で解説した。720ページの大著。同社のウェブサイト「花ペディア」の画像とも連携させた。
事典とはいえ、心がけたのは主観を交えた記述だ。「造園には設計者の好みが反映される。私が思うことの中に、設計で役立ものもあるはずだから」
撮り上げた木の多くは十分に流通しておらず、利用がすぐ広がるのは難しい。でも「いろんな木を使いたい人が増えれば、提供する人も出てきます」と、期待している。