1981年10月 湘南通信 BEGIN
時代を語る青年画家の哀歓 ほのぼのイラスト日記
雑誌「話の特集」や朝日新聞の出版物等で活躍中の版画家細谷正之(38歳/鎌倉)が、自らの半生をイラストで綴った『ぼくのイラストレイション的自叔傳』が出版された。まだ20代だった画家がシェルブール、パリと放浪していた頃、それまでの生い立ちを描き続けた労作だ。
500頁になんなんとするこの“絵日記”、登場人物は全て画家の記憶にある面影を辿って似顔絵にしたもの。単に画家の内面を興味深く垣間見ることができるだけでなく、時代の証言ともなりえている点に注目したい。