2001年5月17日 岩手日報
植物名 正しく呼んで
幅利かす俗名を危ぐ名称整理、5000種紹介
盛岡出身・毛藤さんの出版社 日本花名鑑を出版
【東京支社】盛岡市出身の毛藤圀彦さん(五七)=神奈川県鎌倉市在住=が経営する出版社「アボック社」は多様化する流通植物を整理した「日本花名鑑」を刊行した。約五千種類の植物を紹介。昨今のガーデニングブームを背景に「俗名」で流通する植物が年々増加している。毛藤さんは「本来の名称を知ることなくして、植物文化は育たない」と出版の動機を語り、ビジネス優先のフラワー業界にも一石を投じたい思いを強くしている。
「日本花名鑑」(B5判、三百二十八ページ、二千九百八十円)は約五千種類の植物を紹介。草木や観葉植物、シダ・コケ類までを分類別にくくり、利用目的や英名、学名、和名、俗名などから検索できる。
最近、国内で流通する植物は消費者の関心を引こうと「三日月ネックレス」「初恋草」などのネーミングで売られるケースが多い。
これらの「俗名」は流通業者などが独自につけるものだが、入手する消費者はもちろん、取り扱う小売業者すら、次々と飛び交う情報量についていけなくなっている。
今回の出版は、こうした現状を危惧した毛藤さんが社内スタッフと約一年半にわたり研究。第一弾として現在国内に流通している植物を中心に名称を整理した。
例えば、俗名検索の欄で「初恋草」を探し、指定ページを開くと「フォルモサ」という名称を引き当てることができる。
毛藤さんは「今のフラワービジネスは消費者側がまったく受け身。それは消費者がきちんとした知識を持てないからだ。これを解消しないと、日本の植物文化は遅れる」と強調する。
「日本花名鑑」には名称整理のほか「植物耐寒ゾーン地図」も付け、露地栽培が可能な気温の目安を掲載。毛藤さんは今後も増加傾向にある植物情報に対応するため、「日本花名鑑」を全五巻まで刊行する予定だ。
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