2000年7月 NHK趣味の園芸(7月号)
園芸も植物観察も、実際に植物に触れてみないと本当のおもしろさはわからないようだ。この本を読み終えたら、次の休日は近くの野山に出かけてみよう。
この本の著者に間く!
田中耕次さん
20数年前に奄美大島に行き、亜熱帯の原生林に生える植物の豊かさに心打たれてから、植物を訪ねる旅にはまりこんでしまいました。私たちがふつう目にしている観葉植物 は、観賞用の幼木で本当の姿とはいえません。その木のふるさとに行けば成木が見られるだけでなく、どういう場所でどんな植物と仲よく暮らしているのか、現地の気候も含めて観察することができます。特に根つきの植物を扱う場合、その原生地を知ることがメンテナンスの基本ですね。
旅を続けて感じたことは、植物は動物以上にしたたかだということ。この本が、植物の本来の姿を知る一助となり、人間が植物と共生していることを感じとっていただければうれしいですね。
取材・分=阿久津惠美
観葉植物のリースや造園、園芸植物を扱う会社を経営。東京園芸装師専門学校などの講師も務めている。
90年国際花と緑の万博では政府館の植栽、展示などの企画・デザインを担当。『熱帯植物巡札』日大生物資源科学双書3 アポック社
マレー半島、スリラン力、マダガスカル、奄美大島…。著著の意欲的な植物探訪の旅に導かれ、熱帯植物の魅力と人類にとっての必要性を実感するだろう。