2000年5月 プランタ 第69号(5月号)
熱帯植物巡札―室内植物の原産地をたずねて―
田中耕次著 四六判 278+8頁 アボック社 2000年3月
巡礼という言葉は古くから宗教上でよく使われていた。聖地といわれるところを訪ねたり、関連の主要寺院を巡るときなどである。身の回りにある植物は園芸種を含めわれわれにとって不可欠であり、その原種を知ることは意味のあること。
この本を手にしたとき、昨年9月に塚谷氏訳で刊行された『裸植物巡礼』を思い出した。同書はイギリスでも育つ植物を東南アジアで採集する話である。
近年、庭の少ないマンションやビルの事務所で、われわれの心を和ませてくれる観葉植物がもて囃されている。少ない陽ざしでもつねに緑の葉をつけている。
本書は、著者の田中氏が『インドアグリーン協会誌』に10年以上連載しているエッセイの中から、熱帯・亜熱帯にかかわる観葉植物の原産地をたずね、その生態や現地での活用のされかたなどを紹介しているものを編集し直し加筆したもの。カラーを含め写真も多く原産地の様子も理解でき、読者に日常目にしている観葉植物について新鮮な知識を提供してくれるだろう。 (T. W.)
版元 0467-45-5119