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Aboc通信 紹介記事

絵はがきボック(1)日本のトンボ Dragonfly

1994年7月 ABOC通信(No.20)

全国のトンボファンの皆さま、ご注目ください! “絵はがきボック”『日本のトンボ』新発売

[写真 ■絵はがきボック“日本のトンボ" 絵:地本義信 解説:槐真史]


なぜ、アボックは今トンボなのかトンボブックができるまで

当社がトンボのラベルをつくろうと思い立って、今年で4年と半年くらいになる。

当時、野鳥やホタルにとってかわりトンボが行政の間で注目されるようになって2~3年が経過した頃であった。

よし、トンボラベルだ

もともと昆虫のラベルはつくりたいと考えていたのだが、某関西のK市が「アボックさん、トンボのラベルがあったら買うよ」と言ってきた。よし、トンボラベルをつくろう! と思い立ったはよいが、これが思いのほか苦労する。

まず、トンボを写真でのせるか? 絵でのせるか? であるが、写真では一部マニアの人が素晴らしい写真を撮っているの で、どうせならオリジナル性を出したかったのでイラストで描くことにした。

もちろん、標本画は昔の図鑑にもよく載っているのでやめた。どうせ描くなら生態画だ。K市で紹介していただいたO先生も「絵の方が親しみがもてます」と言っておられた。とりあえずサンプルとしてギンヤンマとナツアカネを描くことにした。これも先生にご指示いただいたりした。

さて、イラストを描くにあたって細々とご指導いただいたのが、槐氏である。

槐氏には昆虫全般の資料や原稿などでお世話になっているが、トンボをやろうと思ったのは槐氏との出会いもある。

イラストレーターの地本氏に描きおこしていただいたラフを鉛筆段階で二度、彩色してからもう一度、槐氏による手直しがあった。

2点のイラストをおこしてみて注意すべき点が少しわかった。以来、イラストは全て槐氏の監修を受けている。

地本さんの情熱

しかし、それからの地本氏のラフスケッチもすごい! 氏は 一つのトンボを描く時、図鑑の中に掲載されている説明文を全部読みくだす。そして、ラフをつくり不明な部分は余すところなく聞いてくる。

そうこうしているうち、標本や図鑑にはないトンボの生写真まで借りて描くようになった。

一部、トンボの説明看板の仕事もあったりして約10種の絵がそろった。まだまだラベルを大々的に売り出すには少ない数だ。さらに2年が経過し、約24種のイラストがそろった。

20種をこえた時分から、せっかく描きおこしたイラストを看板以外にも生かしたいと思った。

最初は少しページのあるガイドブックを考えたがリスクが大きいので、試しに8枚の絵はがきをつくる提案を当社の社長にもちかけた。いわゆる、絵はがきボック『日本のトンボ』が誕生する所以である。

〈絵はがきボック〉の〈ボック〉は決して誤植なんかじゃない。あくまでも〈ブック〉ではなく〈ボック〉なのである。

(営業ディレクター 石井通博 記)


21種類の日本の代表的なトンボの絵はがきと解説冊子が入って1冊の本になりました。

当社の創立20周年記念出版。その記念バーティーにお来しいただいた立松和平さんは、地本さんのこの絵をすぐに気に入られ、その場の即興で次のような推薦文を書いてくれました。立松さん、ありがとう。

トンボは私たちには野遊びの友であった。空気を音もなく切って飛ぶトンボは美しい。トンボがいると、そのあたりの空気が凛と澄む。トンボは郷愁を誘うし、私たちの感覚を鋭く研ぎもする。トンボとはいつまでも親しい友でありたい。

トンボが生きるには、もちろんそれなりの環境が整っていなければならない。その環境を残すのは、今や私たちの手にかかっているのである。トンボと友でありつづけるためには、私たちの在り方も試されるということなのだ。

もちろんトンボもそうなのだが、生命はすべて美しいと、地本義信さんの絵を見て私は改めて思う。

立松和平

 

“絵はがきボック”は、シリーズとして出版企画しています

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