1998年12月2日 日経新聞
ブラジル博物研究会の橋本梧郎顧問は、二十七日、およそ一カ月にわたった訪日の報告を行った。一番の収穫は、戦前、橋本さんが昭和天皇に献上した粘菌類の標本を「昭和天皇生物学研究所」で再見したことだった。「感慨無量だった」と感想を述べた。
報告によると、橋本さんの今度の訪日目的の主なものは、静岡県小笠郡小笠町(橋本さんの出身地)で名誉町民第一号に推薦され、その顕彰式に出席、記念講演すること。愛知県豊橋市のホリディ・イン・ホテルで開催された第五回国際植物増殖者会議に出席、特別招待講演すること。そして、築波市実験植物園に移転した昭和天皇生物研究所を訪問して、一九四〇年に昭和天皇に贈った粘菌類を見ることだった。 橋本さんは、贈った粘菌類を、当時、北パラナのウライ、サンパウロ州のグアララペス方面で採集、沢田節蔵大使がみずから帰国の際、日本に携えて行った。およそ百点だった。それが標本にされ、五十八年もの間、保存されていたもの。
筑波の実験植物園は、通常一般には非公開。橋本さんは、ブラジルの在野の植物学者として知られ、しかも、貴重標本の寄贈者をあって、特別に入園、思い出深い粘菌類と再見できた、という。 橋本さんは、今回、同研究所から、粘菌類の分類リストをもらい受けてきた。…(後半不明)