1996年6月24日 毎日新聞(夕刊)
サンパウロの橋本さんら出版
サンパウロ住の日系ブラジル人博物学者、橋本梧郎さん(83)が、西本喜重・徳島文理大薬学部教授と共著で『ブラジル産薬用植物事典』を出版した。60年来のフィールドワークの集大成で、2168種を収録。日本語で書かれた初の本格的なブラジル植物図譜としても評価が高い。
橋本さんは静岡県出身。11歳で渡伯、農業試験場に勤めながらブラジルの植物研究に打ち込んだ。1950年にはサンパウロ博物研究会を設立。収集した植物標本約15万点は個人蔵では世界一といわれ、その標本館建設も進められている。
この事典には同国の原産と帰化して普通に見られる薬用植物が網羅され、きちんとした学名が定められた。分布図や有用成分、用途なども詳しい。「遺伝子資源の宝庫ブラジルの植物研究を日本で前進させる歴史的な出版」と評価されている。同書はアボック社発行、総発売元は丸善。