(年、発行日不明) 写楽別館
人間は小さかった
1890~1925 アメリカ北西部の旅―写真/D・キンゼイ 文/中上健次ダリウス・キンゼイのほとんどパーフェクトな写真集『森へ』(アボック社刊)を見たときの驚きは大きかった。西部開拓史の写真による証言という意味や、アメリカ人がいかに肉体を使って勤勉に働いてきたかということや、自然に襲いかかり、ねじふせようとする人間の行為などが、ページをめくるごとに写真から放射されてくる。樹木に関する出版にこだわる鎌倉の出版社アボック社のポリシーから生み出された、実に見事な日本語版は、ここに掲載したもの以外に数多くの素晴らしい写真がある。少し高価だが興味を持たれた方はぜひ手にとって見ていただきたい。また、このキンゼイとインディアンを撮ったE・カーティス、フランク・マツラの3人の写真展が5月3日から8日まで日本橋、横浜の高島屋で、10日から15日まで京都、大阪の高島屋で開かれる。ぜひ。
(和田 誠氏)