1990年2月 樺花
魅せられた樹の博物誌
毛藤勤治ほか著
アボック社出版局あなたはユリノキという木をご存じですか。明治の始めから、街路樹として全国的に植えられ、すでに大木の並木道となっているところもありますが、プラタナスほどには一般には知られていない木です。チューリップのようなかわいらしい花、印象的な秋の黄葉、そして、なによりその立ち姿が美しく、アメリカではたいへん親しまれている植物の一つです。
本書は、そうしたユリノキにとりつかれた著者が、その植物学的な分類や性質、原産地(北アメリカ)の様子、日本への渡来の歴史、栽培・移植の実際など、さまざまな角度からユリノキを解き明かしています。「ユリノキ?なんだそれ」なんていう人でも、この本を読むと思わず、巻末の全国ユリノキ並木の一覧表を片手に見てまわりたくなる―そんな本となっています。