「アジサイ図鑑を推す」より(抜粋)
コリン・マレーさんはヨーロッパでは広く知られたアジサイ蒐集家で、フランスのノルマンディーにある広大なアジサイ園(12ヘクタール)マレー・コレクションには、原種・園芸種、約1500種が植栽・保存されているという。2007年、ベルギーのヘント市で開催された「第一回世界アジサイ会議」でも、マレー・コレクションの見学ツアーが日程の中に組み込まれていた。コレクションの中には日本原産のアジサイも数多い。来日の都度入手したもの、また、マレーさん自身で、自生地の山中に分け入り、採取したものも含まれている。
(略)
長年に亘り自身で栽培し、間近に観察してきたマレーさんの目を通した『アジサイ図鑑』の写真は、品種の特徴を十分につかみ、確かなものとなっている。
この度、この『アジサイ図鑑』の日本語版が出版されることとなった。解説を植物分類学の第一人者であり、本書の共訳者である大場秀章先生が最新の知識を基に執筆された。学会で正面から取り上げられる機会の少ないアジサイにとって、願ってもないことで、市民権を得た思いがする。大場先生は、常にアジサイに関心を寄せてくださっており、日本アジサイ協会の顧問にもご就任いただいている。もう一人の翻訳者の太田哲英さんは、奥様ともども、多年園芸を趣味にしてこられ、研究心旺盛なヤマアジサイの蒐集家である。アジサイの栽培にも精通した上での翻訳は、微に入った間違いのないものである。「『アジサイ分類図鑑』日本語版」は、より価値の高いものとなり、出版の運びとなった。この図鑑が、アジサイ愛好家の座右の書となり、アジサイ研究者の定本となることを願っている。
日本アジサイ協会副会長
鎌倉アジサイ同好会顧問
池田正弘