日本語版への序文
国際栽培植物命名規約(第7版)の日本語版刊行にあたり序文を書くことができるのはまことに喜ばしいかぎりです。
第1版が1953年に刊行されてから、本規約は農業・林業関係者のみならず園芸の専門家や愛好家にとって栽培植物の命名に関する指針となってきました。
この50年ほどの間に植物の育種や導入頻度が飛躍的に増大し、しかも世界的な規模で行われていることから、栽培植物の正確でわかりやすくかつ安定した命名法は、国際的なコミュニケーションと理解のためにことのほか重要です。本規約の目的は、条項として整備された規則と勧告の適用により、正確かつ均一な方法で栽培植物の命名を促す体系を提供することにあります。
いずこであれ可能なところでは、規約の条項が世界中の生産者や育種者の直ちに知るところとなるよう、命名規約改訂の責を担う国際生物科学連合の委員会はその翻訳を奨励しています。栽培や育種の長い歴史をもつ日本や他の国々における植物命名の慣習にも規約の条項で注意が払われています。委員会では規約を改良するための提言や意見を歓迎し、栽培品種名の安定化と使用に役立つ栽培品種のチェックリストや国際登録簿を出版する国際栽培品種登録機関が増えることを願っています。
日本は、世界の国々で栽培される園芸植物や農作物を作出してきた長い顕著な歴史をもつことで知られていますが、その日本での規約の啓発・普及のため、日本語版制作に携わったすべてのかたがたに対し、国際生物科学連合の栽培植物命名法委員会を代表して心よりお喜びとお礼を申し上げます。
国際生物科学連合 栽培植物命名法委員会 委員長 クリス・ブリッケル